胡蝶蘭
「そんなの自然と女の子にしたら勘違いしちゃうでしょーが。ね?幼なじみちゃん?」


「え!?あぅ……っ」


「別に。俺、杏里にしかしねーし」


「はえ!?」


「幼なじみちゃん真っ赤だよ?もー。どこまで王子様なんだよ雅」


「うるせー。女たらし」


「天然の女たらしに言われたくありませーん」


綺麗な二人が言い合いしている。


なんて素敵な光景だ。


もう十分目の保養させていただきました。


予鈴が鳴ると雅くんはまた頭をポンポンと叩いてから教室を出て行った。


「いやー。恐ろしい程の溺愛っぷりだよねー。幼なじみちゃん的にはどう?」


「えっと……っ」


「王子様に溺愛されてる感。女の子の憧れだよね」


そうだろう。


その『憧れ』をこんな私が体験してるなんて……。


そりゃ女の子達は耐えられないに決まってる。


私は俯いて手をギュッと握った。

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