胡蝶蘭
学校に着くまで離してくれなかった手。
教室に着くと雅くんは私の手を離して私の頭をポンと撫でた。
「それじゃ、杏里。放課後待ってろよ。一人で帰るとかしたらお前ん家行ってお仕置きだから」
「はい……」
「ん。いい子」
雅くんは優しく笑うと手を挙げて去って行った。
カッコイイな。
でも、私には遠い。
唇を噛み締めて教室に入る。
すると教室にいた人達の目が突き刺さった。
ヒソヒソ話されるのは嫌い。
気持ち悪くなる。
足早に席に向かうと近くに座っている女の子達が舌打ちした。
「なんだよ。今日も来たわけ?」
「梶原くんにベッタリしちゃって」
「アンタに梶原くんは似合わないって言ってんじゃん」
「幼なじみだか何だか知らないけど、近くにいると不快だから消えてよ」
何が面白いのか、女の子達はケラケラ笑うとまた話し出した。
どうしていつも同じ事言われなきゃいけないんだろう。
私は頑張ってるよ。
雅くんから離れようとしてる。
本当は離れたくないのに。
でも私のせいで雅くんが嫌な思いする方が嫌だから。
頑張ってるよ。
でも雅くんが優しいから……。
涙が零れそうになる。
私は俯いてそのまま動けなかった。
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教室に着くと雅くんは私の手を離して私の頭をポンと撫でた。
「それじゃ、杏里。放課後待ってろよ。一人で帰るとかしたらお前ん家行ってお仕置きだから」
「はい……」
「ん。いい子」
雅くんは優しく笑うと手を挙げて去って行った。
カッコイイな。
でも、私には遠い。
唇を噛み締めて教室に入る。
すると教室にいた人達の目が突き刺さった。
ヒソヒソ話されるのは嫌い。
気持ち悪くなる。
足早に席に向かうと近くに座っている女の子達が舌打ちした。
「なんだよ。今日も来たわけ?」
「梶原くんにベッタリしちゃって」
「アンタに梶原くんは似合わないって言ってんじゃん」
「幼なじみだか何だか知らないけど、近くにいると不快だから消えてよ」
何が面白いのか、女の子達はケラケラ笑うとまた話し出した。
どうしていつも同じ事言われなきゃいけないんだろう。
私は頑張ってるよ。
雅くんから離れようとしてる。
本当は離れたくないのに。
でも私のせいで雅くんが嫌な思いする方が嫌だから。
頑張ってるよ。
でも雅くんが優しいから……。
涙が零れそうになる。
私は俯いてそのまま動けなかった。
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