さあ、好きになりましょうか。
連れていかれたのはファストフード店だった。いろいろなチキンを売りにしているところだ。高校から一番近いのだと言った。


「テスト勉強とかよくここで友達とするんですよ。腹が減る度に買いに行けるんで、テスト終わると金がなくなってるんです」

「それわかる。あたしもよくこういうとこでやった。勉強なんてすぐ飽きちゃって友達とずーっと喋ってたなあ」

「俺もです。テスト勉強のためとか言っといて、勉強進まないんですよね」

「確かに関谷とテスト勉強したら、関谷の動きが気になって勉強どころじゃないかもねー」

「ひどいっすよ、愛子さんー」


あたし達は飲み物やチキンを買ってテーブルに向かい合って座った。


「愛子さん、話せます? 無理しなくても」

「無理してないよ。あたしから言いたいって言ったんだから」

「いや、だって、この間話すと気分悪くなるって……」

「あれは神田と会った直後からだよ。無意識に思い出したのがあって、その状態では話せなかったってこと。今はもう大丈夫」


あたしは熱い紅茶を啜った。


「この話をしたらむしろ関谷の食欲がなくなるかもしれない」

「大丈夫ですよ。俺、どんな話聞いても何でも食べれるタイプなんで!」


そう言って関谷はチキンを頬張った。


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