さあ、好きになりましょうか。
当然ながら、このことは誰にも言わなかった。言えるはずがない。自業自得だと罵られることはわかっている。


そして、その傷を気付かれることもなかった。夏の、半袖を着ている時期ならすぐ気付かれる恐れもあったけど、秋も深まってきた今の時期は基本長袖を着ているし、傷は腕の内側についているから少し気にかければ他人に怪しまれることなく隠せる。


部活の時は暑くなるとジャージを腕まくりをするけど、みんなボールに集中しているから、あたしなんかを気に留める余裕はない。休憩中に腕を隠せば済んだ。


気付かれたくなかった。気付かれないだろうとも思った。でも、気付いてほしいとも少しは思っていた。


でも、関谷にだけは絶対に気付かれたくなかった。何としても隠しきらなければと思った。気付かれてはならない。


この時期になると暗くなるのが早いから、練習が終わるとすぐ帰る人が増える。残って自主練をする人はごく少数になるから、あたしは必ず残った。


練習をしたいのはもちろんだけど、何より着替えている時に腕を皆に晒したくなかった。


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