さあ、好きになりましょうか。
自主練をしているときに関谷は必ず現れた。
あたしがサーブ練習をしているときはコートの反対側に立ってあたしのサーブを受けて、七海とスパイク練習をしているときはトスを上げてくれた(リベロだからトスを上げる機会はほとんどないけど、少しでも武器を増やしたくて練習しているそうだ)。
「リベロはほとんどアンダーハンドでしか打たないんで、この間超久々にオーバーを打ってみたらすげー下手くそだって気付いたんですよ。それで今猛特訓中です」なんて、以前関谷は言っていた。
コートカバー力も高いのに、こいつはどこまで強くなる気だろうと思った。
「素朴な疑問なんだけど」
あたしがぽつりと呟いたら、関谷が「何ですか? 俺のことなら何でも答えますよ!」と言ってきたから頭を叩いてやった。
「あ、愛子さんに久々に叩かれたっ……!」
「リベロがオーバーハンドでトスを上げるとしたら、どうするの? 確か、リベロがアタックラインの前でトスを上げることはできるけど、それを誰かが打つのは反則でしょ?」
「そうですね。オーバーで上げるなら、ラインの後ろで上げるか、ラインの前に来ちゃったら跳んでそのまま上げますね」
「えーと、つまり、ラインの後ろで跳んで空中でトスを上げるの?」
「そうですよ」
「それ、かなり難しくない?」
「難しいですよ。だから、練習してるんですよ。今はまだ無理だけど、来年の高総体には絶対第二のセッターって呼ばせますよ!」
「……お前はいくつ役割をこなす気だよ」
ニカッと笑う関谷に、こいつはきっとそれを完璧にこなすための努力を惜しまないだろうと思った。
あたしがサーブ練習をしているときはコートの反対側に立ってあたしのサーブを受けて、七海とスパイク練習をしているときはトスを上げてくれた(リベロだからトスを上げる機会はほとんどないけど、少しでも武器を増やしたくて練習しているそうだ)。
「リベロはほとんどアンダーハンドでしか打たないんで、この間超久々にオーバーを打ってみたらすげー下手くそだって気付いたんですよ。それで今猛特訓中です」なんて、以前関谷は言っていた。
コートカバー力も高いのに、こいつはどこまで強くなる気だろうと思った。
「素朴な疑問なんだけど」
あたしがぽつりと呟いたら、関谷が「何ですか? 俺のことなら何でも答えますよ!」と言ってきたから頭を叩いてやった。
「あ、愛子さんに久々に叩かれたっ……!」
「リベロがオーバーハンドでトスを上げるとしたら、どうするの? 確か、リベロがアタックラインの前でトスを上げることはできるけど、それを誰かが打つのは反則でしょ?」
「そうですね。オーバーで上げるなら、ラインの後ろで上げるか、ラインの前に来ちゃったら跳んでそのまま上げますね」
「えーと、つまり、ラインの後ろで跳んで空中でトスを上げるの?」
「そうですよ」
「それ、かなり難しくない?」
「難しいですよ。だから、練習してるんですよ。今はまだ無理だけど、来年の高総体には絶対第二のセッターって呼ばせますよ!」
「……お前はいくつ役割をこなす気だよ」
ニカッと笑う関谷に、こいつはきっとそれを完璧にこなすための努力を惜しまないだろうと思った。