さあ、好きになりましょうか。
「どうかした?」

「……いや、これを愛子に言っていいかわかんねえんだけど」

「言っていいよ。今更神田に何言われても気にしないし」


あたしが言うと、「愛子に神田って呼ばれるのなんかいい……!」と瞳を輝かせていたから、「あいにく今はお断りしております」とストップをかけておいた。


「…………愛子、もしかして」

「愛子さーんっ!!」


その時、後ろから重みを感じた。そして食堂中に響いたであろう大きな声。


「愛子さんっ、やっと見つけたあ!」

「関谷!? おまっ…………なんでここに」

「愛子さんに会いに来たんです!」

「聞いてんのはそこじゃねえよ」


ここは食堂だ。大学なんか体育館にしか用事がないから、関谷はこの場所を知らなかっただろう。


もしかしてあたしを探してくれたのだろうか、なんて思いたくなったけど、慌ててその思考を振りきった。


ふと関谷が黙ったから関谷の顔を見上げると、なんとも嫌そうな顔をしながら神田を睨みつけていた。そんな関谷にお構いなしに、神田は「よっ、久しぶりだな」と関谷に笑いかけていた。


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