さあ、好きになりましょうか。
「こないだ、自主練をしてる時に偶然見ちゃったんです。その時はあまり気に留めてなかったんですけど、さっき間近で見て、ピンときました」
関谷は俯きながらぽつぽつと話した。
「リスカ…………ですよね」
関谷は意を決したようにそう言った。あたしは黙っていた。無言の肯定だった。
リストカット。自分で自分の手首を切る自傷行為だ。
知られたくなかった。関谷には絶対知られてはならないと思った。だから、関谷が近くにいるときは意識的に手首を隠していた。気付かれていない自信もあった。
でもそれと同時に知ってほしいという気持ちもあった。あたしを叱ってくれ。何をしているんだと怒ってくれ。そう願っているあたしもいた。
あたしは黙って唇を噛み締めた。
関谷は何も言わなかった。見られた瞬間に絶対何か言われると思ったから、正直拍子抜けしていた。
それでも、今は見られたことへの戸惑いの方が大きかった。どうしようどうしよう。こういう時何と言えばいいのだろうか。何を言うべきだろうか。それより、この状況をあたしはどうすればいいのだろうか。
関谷があたしの手首を掴んだまま、あたし達はしばらく黙っていた。
関谷は俯きながらぽつぽつと話した。
「リスカ…………ですよね」
関谷は意を決したようにそう言った。あたしは黙っていた。無言の肯定だった。
リストカット。自分で自分の手首を切る自傷行為だ。
知られたくなかった。関谷には絶対知られてはならないと思った。だから、関谷が近くにいるときは意識的に手首を隠していた。気付かれていない自信もあった。
でもそれと同時に知ってほしいという気持ちもあった。あたしを叱ってくれ。何をしているんだと怒ってくれ。そう願っているあたしもいた。
あたしは黙って唇を噛み締めた。
関谷は何も言わなかった。見られた瞬間に絶対何か言われると思ったから、正直拍子抜けしていた。
それでも、今は見られたことへの戸惑いの方が大きかった。どうしようどうしよう。こういう時何と言えばいいのだろうか。何を言うべきだろうか。それより、この状況をあたしはどうすればいいのだろうか。
関谷があたしの手首を掴んだまま、あたし達はしばらく黙っていた。