さあ、好きになりましょうか。
「関谷…………好き」


思いを口にしてしまえば、もう止められなかった。あたしは嗚咽を漏らして泣き出した。


関谷があたしから離れてあたしの眼鏡を外した。そして零れる涙を拭った。


「俺も、愛子さんが大好きです」


そう笑った関谷に今度はあたしが抱き着いた。きっと苦しいだろうけど、あたしは関谷を力いっぱい抱きしめて泣いた。そんなあたしを関谷は抱きしめ返してくれた。


関谷の温もりをこのまま離したくない。そう思うと余計涙が止まらなかった。


ごめんね。こんな情けなくてだめなあたしでごめんね。


泣きながら切れ切れにそう言うと、関谷は抱きしめたまま、あたしの頭を撫でた。


「もういいです。だから、俺に謝らないでください」


ゆっくりと、言葉を選んでいるように聞こえた。


あたしの涙が関谷の肩を濡らした。


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