さあ、好きになりましょうか。
散々泣きじゃくって、涙が収まったら即座にひたすら鼻をかんだら関谷に笑われた。


「…………何笑ってんのよ」


眼鏡を外されて焦点が合わずにぼやけた目で睨んでも、関谷はずっとにこにこしていた。


何回かんだかわからないけど、ようやく鼻水が収まって鼻の下をこすった。鼻のかみすぎでひりひりする。


「愛子さん、もう大丈夫ですか?」

「…………ん」


やばい。関谷がいるのに思いっきり泣いてしまった。しかも勢いで告白してしまった。自覚したら恥ずかしくなって頬が熱くなる。


関谷と向かい合っているから顔が見れない。まあ、眼鏡を外されているからそもそもまともに見えないけど。


「愛子さん」


関谷に呼ばれたと思ったら手を握られた。


関谷が顔を近づけてあたしの目をじっと見つめている。そして、ゆっくりと二人の唇が重なった。


「大好きです」


唇を離して関谷がへへっと笑った。


「ん…………」


あたしはこくりと頷いた。


「愛子さん、顔真っ赤」

「うるさい」


顔を近づけたまま笑う関谷と、顔が近いことを気にして関谷を直視できないあたしは、本当に正反対だ。


それでも、お互いを思う気持ちは同じだ。


< 140 / 148 >

この作品をシェア

pagetop