さあ、好きになりましょうか。
それから一人ずつ風呂に入った(関谷にはあたしの男物に近いTシャツとスウェットの下を貸してあげた。「愛子さんの匂いがするー」なんて言っていたから頭を叩いてやった)。


あたしの後に関谷が風呂に入って、あたしの服に着替えた関谷は髪が濡れたまま寝転がったから、「髪乾かしなさい」と頭にタオルを被せてその上からゴシゴシと拭いてやった。


「愛子さん、お母さんみたい」

「あたしは三時間で君の彼女からお母さんに昇格したわけね」


光栄だわと言ってやると、「あー、でも手出せないからお母さんはやだなー」という関谷の呟きが聞こえたから、あたしはぴたりと手の動きを止めた。


「言っとくけど、手出したら追い出すから」

「わかってるって。俺、付き合ってすぐの彼女に手を出すほど飢えてませんって。その時が来たら、の話」


タオルから顔を覗かせていたずらっぽい笑みを浮かべた関谷に、あたしは一人で顔を赤くしていた。


一人で寝るために作られたベッドに二人が寝るのはとても狭い。


あたし達は密着しながら寝ることを余儀なくされた。


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