さあ、好きになりましょうか。
バレー部女子はみんな顔面偏差値が高い。先輩は美人揃いだし、一年生だって今時の大学生って感じで可愛い。その中に、ただ一人眼鏡のあたしがいるのだ。お世辞にも顔が整っているとは言えないあたしが眼鏡をかけているのだ。自分の顔のできがよくないことは昔から自覚していたけど、ここまで顔が整っている団体の中に混じるとなんとも惨めで仕方ない(かと言って中身がいいかと聞かれればかなり悩むけど)。


いい女なら他にいくらでもいるじゃない。なんであたしなのよ。


そんなことを言ったら、「愛子さん、会ってまだ一日も経ってないですけど、愛子さんが自分に対してかなり悲観的だってことがわかりました」と関谷に言われた。


「え?」

「だってほら、さっきも気にしないでって言ったじゃないですか。俺らに気を使ってくれたのかなとも思ったんですけど、捉え方によっては自分のことなんてどうでもいいとも取れるし」

「い、いや、別にそんなつもりでは……」

「ま、いっか。俺、どんな愛子さんでも受け入れるんで!」

「い、いいよ、別にっ」


それからあたしは七海を置いて、関谷を振り払うのに精一杯だった。


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