さあ、好きになりましょうか。
「毎日毎日、嵐みたいなあんなあほを相手してるんですよ。もう、疲れて疲れて……」


あたしはため息をついてうなだれた。


あんな若いパワーがある意味羨ましい……。


「そう? 私には愛子も楽しんでるように見えるけど」

「やめてくださいよ。あたしよりいい女なんて周りにこんなにいくらでもいるのに、なんであたしなんですか……」

「あら、愛子は人に好かれることが嫌なの?」

「そうじゃないですけど……」

「じゃあ、いいじゃない」


高橋さんはにっと笑って去っていった。


……何がいいんですか。


いや、関谷が悪いとか言ってるんじゃない。元気いっぱいでたまに暴走するけど根はいい奴だ。


ちらっと男子のコートを見ると、関谷が自分より大きい一年生らしき男子にレシーブの方法を身振り手振りで教えている。それを聞いている男子も真剣だ。


うん、かなりいい奴だと思う。いい先輩だと思う。


でも、それとこれとは話がまるで違う。


< 17 / 148 >

この作品をシェア

pagetop