さあ、好きになりましょうか。
「そんじゃ、今からゲームするぞー」


男子の方から大学のキャプテンの声がかかる。「大学生チームと高校生チームで分かれるから、早く準備するように」とキャプテンが言って、男子が散り散りになる。


やがてネットを挟んだコートに12人の男子が入る。そこには関谷の姿もあった。リベロの印であるゼッケンを着ている。


そう、彼は高校側の正リベロだ。背が低いからアタッカーではないとは思っていたけど、次の日からちょくちょく男子の様子を見ていたら、関谷がゲームの時必ずリベロであることに気づいた。それで男子のキャプテンに確かめてみたら、案の定関谷はリベロだということが判明した。


しかも、関谷はかなりうまい。


スパイクを拾ったり、相手のサーブをレシーブしたり、味方がミスしたときのボールのケアがとても上手だ。これらはリベロの基本的な仕事だけど、かなり難しいことだ。一般的にはリベロはサーブもスパイクもしない楽なポジションと思われがちだけど、実はかなりの技術がないとできないポジションなのだ。


関谷はその仕事をゲームでそつなくこなしている。


あたしはその様子をぼんやりと眺めていた。


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