さあ、好きになりましょうか。
「愛子さんっ、見ました? 俺の活躍!」


放課後、関谷が飛びつく勢いであたしのもとにやってきた。


「あーはいはい。あたし、その時スパイク練習してたわ。全然見れませんでしたー」

「愛子さん、超棒読みー。ま、いいや。すごかったんすよ、キャプテンのスパイクを俺が地面につくまさに寸前にこの手の甲で受け止めて……」

「ほー、そりゃーすごいわー」

「棒読み超興奮するっす!」


目を輝かせてあたしを見る関谷から顔を逸らして、あたしはしっしと手を振った。


「でも、2セット目のあのポイントはもうちょいで取れそうだったなあ。もっと手を伸ばせば取れたかもしれないし。悔しいなあ」

「ふうん……」


関谷の声のトーンが下がったと思ったら自分の手の平をじっと見つめたから、あたしは黙っていた。


「そういや、愛子さんもすごいっすよね。ウイングスパイカーですよね?」


再び関谷の声のトーンがぱあっと明るくなる。こいつのテンションの変貌ぶりには正直驚かされる。


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