さあ、好きになりましょうか。
あたし達が体育館に入った時、関谷の高校、泉北(せんぼく)高校の試合はちょうど第一セットが始まったばかりだった。スコアは3-1。


「今日は三回戦までやるんだって。で、明日が準々決勝と準決勝。明後日に決勝」


七海があたしの隣で説明した。高総体は県ごと、部ごとに試合の進み方が違っている。七海はここの地元出身だ。


「へえ」

「で、泉北はいわゆる強豪校って言われてるとこで、シードだから二回戦からなの」

「大学生と練習するくらいだからね。やっぱりすごいんだ」


体育館に高校生たちの声が響き渡る。盛大な応援の声、コートからの選手の声。審判のホイッスルの音。


関谷の姿をコートの中に見つけた。泉北の選手は、ユニフォームが赤のラインの入った白だけど、関谷はリベロだから、一人だけユニフォームが真っ赤だ。目立つ。


関谷はチームで一番小さかった。そして一番動いている。コートを縦横無尽に動き回って、スパイクを拾うと「っしゃああああ!」と声を上げるのをあたしは上から見下ろしていた。


やっぱり、関谷はうまい。


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