さあ、好きになりましょうか。
「まあ、うちの県の男子ってけっこう激戦区でさ、泉北の他に、強豪があと二つあるのよ。去年の夏は泉北が全国行ってベスト8までいったんだけど、他の二つも全国いったらそれくらいまで狙えるんじゃないかな。とりあえず、その強豪三校がいつも三つ巴してる感じかな」

「へえ。すごいね」

「まあ、個人的に今年も母校に行ってもらいたいけどね」

「母校?」

「私、泉北の今の三年の二個上の先輩よ」

「はあっ!?」


思わず大声を上げてしまった。そんなこと初耳だ。


「え、え? 七海、じゃああの子達は七海の後輩なの?」

「そうよ。三年はだいたい知ってるかな」

「初耳なんですけど」

「言う必要ないと思ってたから」


スコアは10-6になっていた。相手の選手がジャンプサーブを打って、レフトの選手が受け切れずサービスエースになった。


「うわ、すごい。相手のサーブ」


あたしは思わず呟いていた。ジャンプサーブができる選手は数少ないから、チームの戦力になることが多い。


「あの選手、なんか強い感じするわよね。サーブもだし、スパイクも相手の中で飛び抜けてうまい」

「サービスエース取られると辛いよね」


相手のサーブが続く。今度はライトの選手目掛けてボールが飛ぶ。それも受け切れずにボールはコートの外へ大きく飛んでいってしまった。


< 26 / 148 >

この作品をシェア

pagetop