さあ、好きになりましょうか。
三回戦も泉北は勝ち進んだ。


関谷はこの試合もコートの中を走って一つでも多くのボールを拾おうとしていた。拾えないと、悔しがりながら「すいませんっ! 次は絶対取ります!」とチームメイトに頭を下げているのが見えた。


勝っているんだから、そんなに悔しがる必要はないのにと思ったけど、それだけ自分の仕事を全うしようと必死なのだ。


そんな人を、誰が格好悪いと思うだろうか。


真剣で、集中していて、それでいて楽しそうだった。


関谷、あんたかっこいいよ。


あたしはこの試合もずっと関谷から目が離せなくなっていた。


その試合の後も関谷に見つかって、「愛子さーん!! 俺、愛子さんが大好きです!!」と叫ばれたから、あたしはしゃがんで顔を隠さないと恥ずかしくて死にそうだった。


後で七海に聞いた話によると、関谷はこの後男子の部長に説教を食らったそうだ。


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