さあ、好きになりましょうか。
試合の後、あたし達は廊下で泉北の部員が集まってるところにお菓子の差し入れに行った。


「愛子さーん!」


予想通り、関谷があたしのもとにやってきた。


「見ました? 俺の活躍見てました!?」


ぱあっと顔が明るくなって本当に嬉しそうに笑う関谷を見て、思わずあたしも少しだけ笑ってしまった。


「見た見た。スパイカーもすごかったよね」

「俺はリベロです!」

「はいはい。すごかったね」


あたしが適当にあしらっていると、関谷の後ろから「関谷ー」と高めの声が聞こえてきた。


「おー、サオリじゃねーか!」


関谷は声をかけてきた女の子の方に駆けていった。女の子のユニフォームに、泉北の名が書かれている。


チームメイト、か。


二人は笑いながら話していた。関谷の笑顔も、あたしと話している時と違う気がした。


「七海、帰ろ」


あたしは二人から背を向けて七海の腕を叩いた。


「あ、うん」


七海は部員に挨拶をして、二人で階段を上がった(駐車場は建物の上方にある)。


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