さあ、好きになりましょうか。
「せ、関谷! こら、離れろ!」

「嫌っす! 今日は愛子さんの匂いを覚えるまで離れません!」

「変態か! つか、部活の後だから汗くさいんだから離れろ!」


あたしは腹に回った関谷の腕を掴んで引き離そうとするけど、さすがバレー部だ。女のあたしが全力で掴んでびくともしない……って感心している場合じゃない。


「愛子さんの匂いなら汗くさくても全然平気です!」

「お前がよくてもあたしがよくねーんだよ! つか、ほんとに変態かお前!!」

「関谷くん」


あたしと関谷のやり取りを隣で見ていた七海が関谷に声をかけた。


「はい」

「愛子のこと、よろしくね」

「はいっ! 任せてください!」

「七海、こいつに何言ってんだよ! 余計調子に乗るじゃねーか! てか、こいつに任せられるか!」

「大丈夫ですよ。俺、愛子さんを受け入れる覚悟はとっくにできてるんで!」

「何言ってるんだお前!」


関谷をようやく引きはがしたあたしは、関谷から逃げるのに精一杯で、七海の言葉などすっかり頭から抜けていた。


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