さあ、好きになりましょうか。
そう、かつては大好きだった男。好きすぎて、この男になら何をされてもいいと思った。彼の前で泣きじゃくったとき、彼の心を奪えないならいっそこの場であたしを壊してくれと思った。肉体的な意味で。それを勢いで言おうと思って、喉から出ようとした瞬間に思い止まった。
それでよかったのだと今なら思う。余計な傷を作るところだった。あたしはある意味無傷なままで済んだ。
「ねえ、愛子さん……」
そして、そう思った相手に告白された。半年前なら確実に泣いて喜んだ。彼の胸に飛び込んで泣きじゃくるくらいのことはしていたかもしれない。それ以前にこの男に振られたという事実があったとしても、今がよければそれでいい。
「愛子さん、愛子さんってば」
でも、半年経った今、あたしの心は変わってしまっている。もちろん彼を好きだったことを忘れたわけじゃない。今でも会うと心は少し揺れる。告白したあの頃と比べれば気持ちはすっかり冷めたけど、それでも少しだけ、ほんの少しだけ胸の中が熱くなる。
「愛子さんっ────」
あたしはどうすればいい? さっきは逃げられた。でも、いつかは本人に面と向かって答えを出さなければならない問題だ。彼もあたしの告白に面と向かって答えてくれた。それが悪い答えだったにしろ、彼の誠意に嘘はない。あたしも、それに答えなければ。でも、────
「愛子さんってば!!」
そこであたしが呼ばれていることに気づいてビクッと肩を震わせてしまった。後ろを振り向くと、あたしの腕を掴んでじっとあたしの顔を見ている関谷がいた。
そうだ。もう部活が終わって帰る時間なんだ。
辺りが真っ暗なことすら視界に入ってこなかった。
それでよかったのだと今なら思う。余計な傷を作るところだった。あたしはある意味無傷なままで済んだ。
「ねえ、愛子さん……」
そして、そう思った相手に告白された。半年前なら確実に泣いて喜んだ。彼の胸に飛び込んで泣きじゃくるくらいのことはしていたかもしれない。それ以前にこの男に振られたという事実があったとしても、今がよければそれでいい。
「愛子さん、愛子さんってば」
でも、半年経った今、あたしの心は変わってしまっている。もちろん彼を好きだったことを忘れたわけじゃない。今でも会うと心は少し揺れる。告白したあの頃と比べれば気持ちはすっかり冷めたけど、それでも少しだけ、ほんの少しだけ胸の中が熱くなる。
「愛子さんっ────」
あたしはどうすればいい? さっきは逃げられた。でも、いつかは本人に面と向かって答えを出さなければならない問題だ。彼もあたしの告白に面と向かって答えてくれた。それが悪い答えだったにしろ、彼の誠意に嘘はない。あたしも、それに答えなければ。でも、────
「愛子さんってば!!」
そこであたしが呼ばれていることに気づいてビクッと肩を震わせてしまった。後ろを振り向くと、あたしの腕を掴んでじっとあたしの顔を見ている関谷がいた。
そうだ。もう部活が終わって帰る時間なんだ。
辺りが真っ暗なことすら視界に入ってこなかった。