さあ、好きになりましょうか。
あー、でも、この子の指温かいなあ。気持ちいいなあ。


「こらこらそこの君、部活中にうちの部員に手を出さないでちょうだい」


頭に血が上ったことと釣り目の男の子の手の温度でぼうっとしていたら、部長さんが男の子の肩を叩いた。


「あ、す、すいませんっ」


我に返ったらしい釣り目の男の子は頬を赤く染めてあたしから慌てて離れた。


「さて、名前を聞いておこうか。愛子がこれから具合でも悪くなったら慰謝料取らなきゃならないからね」

「た、高橋さん、そんな、あたしは大丈夫ですよ」

「い、慰謝料って……いく、いくらくらいするんですか? こ、高校の方にも言ったりとか……」


高橋さんの言葉に気が弱そうな方の男の子が震え上がった。女子の中では長身の高橋さんを、今にも泣き出しそうな目でひざまずいて見上げそうな勢いだ。


「ほ、ほら、高橋さん、高校生脅してどうするんですか」


あたしの言葉と男子の様子に高橋さんは吹き出した。


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