さあ、好きになりましょうか。
「そういや、今まで忘れてたんですけど」

「何?」

「愛子さんに告白してきた奴の名前って何て言うんですか? 俺、名前も知らないのにそいつとか散々言っちゃってたくせにあれですけど」

「……神田だよ。神田美郷(かんだみさと)」

「へえ。ずいぶん中性的な名前ですね」


関谷の言うことはわかる。要するに名前だけ聞いたら女と間違えそうだと言いたいのだろう。


「……だから言いたくなかったんだよ」

「え?」

「正直、あいつの名前はなるべく口にしたくないの」

「なんでですか? 自分の名前ならまだしも、他人の名前じゃないですか。あ、もしかして」

「……何よ」

「神田って奴のこと、まだ好きなんですか? それで好きな人には男らしくいてもらいたいとかいう……」

「ちげーよ! てか、そう言われることわかってたから言いたくなかったんだよ!」

「愛子さん、そんなボリュームじゃ離れてるとはいえさすがにばれますよ」


さっきまで悶えていたくせに、あたしに突っ込んでくるとか、ずいぶん切り替えが早いこと。


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