さあ、好きになりましょうか。
「愛子さん? どうかしたんですか?」


あたしの様子に関谷が不思議そうに顔を覗き込んできた。


「いや、ハリネズミって関谷に似てるなって思ったから」

「え、俺っすか?」

「うん、髪型が」

「かみっ…………」


ガーンッとショックを受けたらしい関谷は、言葉を失ったらしい。


関谷の髪は髪質が固くて上を向いているのだ。ワックスも付けているかもしれない。それがなんだかハリネズミの棘みたいだと思ってしまったのだ。


「……愛子さん、俺どっちかと言えば狼の方がいいっす」

「いや、あたしが前言ったのは犬なんだけど」

「愛子さんて、何かと俺を動物に例えますね……」

「いい意味でだよ。あたし、犬もハリネズミも好きだよ」


何か言ってくるかなと思ったら、関谷は何も言わずにあたしから目を逸らした。


「あ、愛子さん、あの二人、行っちゃいますよ」

「あ、うん」


あたし、何か悪いこと言ったかなと思ったけど、深く考えないようにした。


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