さあ、好きになりましょうか。
「……関係なくない、ねえ」


そう言ったきり、二人とも何も言わなくなった。


あいつは関谷のことを見ているのかもしれない。


「先に言っとくけど、愛子は誤解してるよ」

「え?」

「俺はあの子と動物の観察の偵察をしてたんだ」

「……偵察?」

「君、愛子のいる学部知ってる?」

「教育学部、ですよね」

「そう。教育学部が教師になるための学部ってことは知ってるよね? 愛子は小学校、俺と一緒に来たあの子は中学校の教師になるための学科にいるんだけど、俺はその中で理科──まあ、生物を専攻にしててね。で、今度生物の授業でレポートを書かなきゃいけなくて、その題材の視察をするために動物園に行ったんだ」

「…………はあ」


関谷は拍子抜けしたようだった。あたしもその話は初耳だったから、更に関谷に対して罪悪感が生まれた。


やばい……ここから逃げ出したいくらいには恥ずかしいんですけど。


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