さあ、好きになりましょうか。
「確かに今日のは勘違いした。でも確かめたかったのは、神田が他の女の子とデートしたかじゃない。あんたの本音が聞きたかっただけ。まさかこんなに早く聞けると思わなかったけどね」

「……なあ愛子、俺思ったんだけど」


追い詰められたように見えた神田があたしをまっすぐ見ていた。


「俺の気持ちはわかっただろ? 何の不満があるの? 確かに俺の言い方は少し悪かったけど、愛子だってわかるだろ? 俺は本気で愛子が好きなんだ。それだけなんだよ、愛子」


あたしは神田を見下ろした。こいつは本気で言っている。


そう、神田も本気なのだ。関谷と同じ、あたしを本気で思ってくれている。こんな口調だけど、本当はいい奴なのもわかっている。


こんなにあたしを好きになってくれる人なんて、他にいない。


「……って、言うと思ったか、このボケ」


言っとくけど、人の性格なんてそうそう変わらないんだよ。


< 71 / 148 >

この作品をシェア

pagetop