さあ、好きになりましょうか。
あたしが戻って、黙ってサンドイッチを平らげて、外に出ると関谷が大きく伸びをした。


「あー、だめだ。俺、ああいう理屈っぽいのだめなんすよ。疲れたー」


関谷の腹がぐるっと鳴ったのを聞いて、あたしは笑った。


「食べたばっかりでしょー。もう腹減ったの?」

「俺、この後普通に飯食えるって言ったじゃないですか」

「じゃあ、今度は普通のご飯食べれるとこに行こっか」


おそらく話したいことはお互いある。でも、あの場で話せる雰囲気ではなかった。


昼ご飯を食べたのにもう一回食べるなんておかしいけど、神田が来たことであたしもチャラになった気分だった。


あたし達は今度は定食屋に入った。


関谷はご飯大盛りの生姜焼き定食を頼んで、あたしはトンカツ定食を頼んだ。ご飯がお代わり自由だと聞いて、関谷は嬉しそうだった。


あたし達は黙々と食べた。お互い空腹だったから、まずは腹を満たすことが最優先だった。


関谷が口を開いたのは、ご飯三杯を平らげて残った生姜焼きを箸でつまんだ時だった。


「…………愛子さんが話したくないなら、無理して言わなくてもいいですけど」


あたしはこの時半分まで減ったご飯を頬張っていた(関谷はご飯を食べるのが非常に速かった)。


< 73 / 148 >

この作品をシェア

pagetop