さあ、好きになりましょうか。
6.会いに来て
付き合ってくれと言われたわけじゃない。俺の気持ちに応えろと言われたわけでもない。


それでも、あたしは、


「愛子さーんっ!!」


飛び掛かろうとした関谷を避けて、関谷はその勢いで床に叩きつけられた。


……なんで好きになっちゃったんだろう。


「調子に乗んな」

「上げてから落とすのやめてもらえますか、愛子さん……」

「何、上げてから落とすって」


七海が関谷に近付いていった。


「あ、ちょっと、七海……」

「へへっ、七海さん聞いてください。俺、愛子さんとデートしましたー!!」

「してねーよっ!!」


関谷の言葉を打ち消すように頭を叩いてやった。


「……ひどいっす、愛子さん」

「お前が余計なこと言うからだろーが」

「事実なんだからいいじゃないすかあー」

「人のカップル尾行して定食屋でご飯行って、誰がデートだって思うわけ」

「いいじゃないすか、ポジティブに考えれば!」

「おめーはポジティブ過ぎんだよ!」


誰かこいつの頭をどうにかしてくれ。


< 77 / 148 >

この作品をシェア

pagetop