さあ、好きになりましょうか。
次の日、関谷が来た時あたしはまだ体育館で自主練をしていた。


「あれー、珍しいですね、愛子さん」

「珍しいって、失礼な」

「だって愛子さん、今まであまり自主練してなかったじゃないすか」

「先輩が練習してるとこに一年生が割り込むのは図々しいと思って遠慮してただけだよ。今日は人が少ないから」


普段は体育館から離れて七海と一緒に外でラリーをしていたから、関谷が来ると同時に終えていたのだ。


「サーブ練ですか?」

「そう」

「俺が受けてもいいですか?」

「いいけど、シューズは?」

「ありますよー」


関谷はシューズを履き替えて、学ランを脱いで、ワイシャツと制服のズボン姿のままあたしがいるコートの反対側に立った。


「あ、じゃあ関谷くん、私のサーブも受けてよー」


七海が関谷に向けてあたしの隣で言った。


「いいっすよー。じゃんじゃん打ってください」


まあ、いいけど。


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