さあ、好きになりましょうか。
「やー、愛子さんも七海さんもうまいっすね、サーブ!」


関谷がペットボトルのスポーツドリンクを飲んでニカッと笑った(飲み物は七海が奢った)。


「……おだてても何も出てこないよ」

「もう愛子ってば、素直に喜べばいいじゃない。なんでそう捻くれてんのよー」

「愛子さんも七海さんも、サーブに回転かかって取りづらいですよね。愛子さんの方がスピードがあって、七海さんは回転の方が多いですけど。リベロじゃなきゃけっこう詰まるはずです」

「あら、ありがとう、関谷くん」

「まあ、そのサーブをあんたは普通に返してたけどな……」

「愛子、ひがむのやめなさいって」

「ひがんでないって。すごいと思ったから」


実際、間近で見て関谷は本当にうまいと思った。あたしがうまくいったと思ったサーブを、勢いも回転も殺してスパイクを打つためのトスを上げるセッターがいる位置、つまりネット際に返球した。完璧なサーブレシーブだった。


何より、腕にボールが当たった瞬間の『音』が誰よりも違った。


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