さあ、好きになりましょうか。
「……やっぱりリベロなんだね」

「愛子さんが初めて俺を褒めてくれた!」

「……まあ、そういうことにしといて」


なんだかんだ言っても、こいつがすごいことは否めない。


あたしはそれ以上何も言えなくなって目の前の飲み物に逃げた。


「あれー、関谷じゃん」

「わー、顔見るの久しぶりだねえ」

「元気だったー?」


女子の先輩3、4人が関谷のもとにやってきた。4月当初から部活中常にあたしの元にやってきたから、女子の間で関谷は既に有名人だった。


「ちわーっす!」


関谷は寄ってきた先輩達に人懐こい笑みを浮かべた。


関谷の周りにあっという間に輪ができて、あたしはそれを輪の外でぼんやりと眺めていた。


「高総体見たよー。関谷大活躍だったねー」

「あざっす!」

「今もリベロやってんの?」

「当たり前じゃないすか! この前大会で優勝しました!」

「すごいねー! 女装してうちのチームに混ざってよー」

「女装しなくていいならぜひ!」


そんな会話が繰り広げられていた。


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