さあ、好きになりましょうか。
七海は少しの間あたしを見た後、ふいと視線を戻してキャベツに手を伸ばした。


「さあね」

「…………は?」

「答えが出なくて、そこで立ち止まったらそれまででしょ。本当にその人のことを好きじゃなかったってことじゃない?」

「……厳しいね」

「答えが出ないままにするのか、そこから動いて答えを探すのかはその人次第でしょ。それで答えが見つかるかもしれないし、見つからないかもしれない。それは誰にもわからない」


ようやくチャーハンが来た。七海はウーロンハイをお代わりして、あたしは梅チューハイを頼んだ。


「……偉そうに言ったけど、私は愛子に辛い思いをしてほしくないから言ったんだからね」


あたしは七海を見ないまま頷いた。


この気持ちが本当なのか……なんてわからないけど、とりあえずあたしの中でどす黒い何かが生まれたのは確かで、それがあたしにとって気持ちのいいものではないことは本当だ。 


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