さあ、好きになりましょうか。
「……嫉妬、なのかなあ」

「ん?」

「さっき関谷が先輩達に囲まれたとき、正直いい気しなかった」


あたしはレモンハイを一気に煽った。


「別に関谷がどこの誰に笑顔振り撒こうがあたしには知ったこっちゃないけどね、それをあたしに見せつけるような場面だと腹立つよね」

「はいはい。今夜は飲め飲め。全部吐き出せ」


七海はおじさんから受け取ったあたしの梅チューハイをあたしの目の前に置いた。


「関谷が可愛がられてるのは前々からわかってますよ。先輩達も弟みたいって言ってたし、それで何回か話してるの見てるし。あたしだけじゃないのはわかってます。ええ、わかってましたとも」


今度は梅チューハイをジョッキの半分まで一気に飲み干した。体が熱い。


もういいや。酒の力に任せて全部言ってしまおう。


「あれがね、先輩達が特別美人じゃなかったらなんとも思ってないわよ。関谷は誰とでも仲良くなれるんだなーで済むわよ。でも、でもよ。先輩達、特に今日関谷を囲んでた先輩達は特別美しいんだよちくしょー!!」

「確かにあれは選んだのかなって私もちょっと思ったわ……」

「絶対無意識に誘惑するやつだ。その気はなかったーとか言いながら関谷を誘惑するやつだ。なんなんだ、大してよくないあたしに見せつけてんのかこんにゃろー!!」

「……完全に被害妄想だけどね」

「あれで関谷が誘惑されたらどーすんの!? 先輩を押し倒してちゅーしてそのまますんのか!! 羨ましいぞてめー!!」

「……愛子、そこはちょっとオブラートに包もうか。もしくはもう少しトーンダウンしようか」


こうして夜は更けていく。


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