さあ、好きになりましょうか。
「いえ。それは俺達の方です。大変ご迷惑をおかけしてしまい、本当にすみませんでした」

「あ、いや、もういいんです。この通り元気だし、練習にもちゃんと出たし」

「それならよかったです。本当は垣崎の奴も連れてきたかったんですけど、あいつ用事があるとか言って早退したんですよ。たぶん女子の部長さんにまた何か言われるんじゃないかってびびったんじゃないですかね」

「確かに、うちの部長けっこう怖いですよね」


二つ下のあたしですらだいぶ怖いと感じているんだから、5個くらい離れている一年生くんは相当怖かっただろう。人にボールを当てたっていう罪悪感も少なからずあるだろう。あたしでもこの状況に陥ったら逃げ出してしまうかもしれない。


「あいつ、入って早々大学生と練習するってだけでもだいぶびびってたんですよ。なのに、こんなことになっちゃったんでだいぶダメージ喰らったんだと思います。まあ、あいつが悪いんで仕方ないですけど」

「そっか。でも、あたしはもう大丈夫だし、部長さんもこれ以上このことに首を突っ込まないって言ってたんで、垣崎くんに伝えといてください。怒ってもないし」

「ありがとうございます」


へへっと笑った関谷くんを見て、ずいぶん人懐こい笑い方をする子だなと思った。目尻に笑い皺ができて可愛い。


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