さあ、好きになりましょうか。
結局あたしの駄々を許した関谷も一緒に部屋に入った。


あたしをベッドに横にした関谷が「もう、いいですか?」と聞いてきたから、「…………やだ」とわがままを貫き通した。


「……………………いま、なんじ?」

「10時半、過ぎですけど」

「もう、ちょっ……と、だけ…………」


こんなの、関谷にしたらすごく迷惑だ。それでもこの時のあたしは関谷の気持ちを考える余裕は全くなかった。


タコになったような腕を必死に上げて関谷に差し出した。


「てぇ……………………にぎってて」


立ったままあたしを見下ろしていた関谷はため息を一つついて、「愛子さんが寝るまでですからね」と呟いて、あたしの手を握ってベッドの傍に腰を下ろした。


少しだけ小さくて、熱い手。この子はどうしていつもこんなに熱いのだろう。


「へへ…………あったかい…………」


力無く笑ったあたしに、「愛子さん、酔いすぎです」と関谷が苦笑を浮かべた。


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