お見合いの達人
待ち合わせした時間を1時間は過ぎていた。

アイツは待っているのだろうか。

取りえず悪女気取って待たせてみた。


閉店セールも終え、完全にクローズした。

私たちの店舗のあったスペースは直ぐに眼鏡チェーンが入居するための準備に入っている。

新店舗オープンのための研修が始まるまで、

従業員は他の店舗のヘルプに入ったり、

休暇をとったり自宅待機となったり皆それぞれの事情に合わせて選択した。

残務整理が終わった私は本社勤務に戻るので、

3日ほど休暇を取った。


今後は基本土日休みになるし、休日出勤したら代休もきちんと取れる。

普通のOLに戻れる。


「あ、いた」

約束の場所にあいつはいた。

アレ?


待ちくたびれて悶々としてるかと思えば、

JKたちに逆ナンされてんじゃん。


へえ、陽に焼けて黒いとこ除けば、

スポーツしてるから、

がっしりしてるし、身長も高いし、

ルックス悪くないんだ。

ああ、いつものジャージじゃなくてボタンダウンのシャツにブルージーンズ。

イメージはさわやか少年、いや青年。

見た目若いからJKにとってストライクゾーンかもね。


鼻の下伸ばしちゃってちょっと気に入らないわね。




私はちやほやされてる男の前に、

まるで時間どおりみたいな顔で現われた。


「トシロー」

トシ坊じゃあんまりだからトシローと呼んでみる。


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