お見合いの達人
「来てあげたわよ」


「お、おう」

上からな私は悪女の演技の始まり。

うわー恥ずかしい。

トシローも突然名前を呼ばれて驚いているかも。


「ちょっと何このおばさん!先生の何?」


「センセイ?」


今なんか初めて聞いた単語が聞こえたんですが?

私が疑問に思っていることを知ってか知らずか、

ナチュラルに私の手をからめとってにっと笑う。


「お前らちゃんと勉強しろよ!俺はこの素敵なレディーとデートなの!」


「え~っちょっと、先生今日さぼりなの?」


「有給ってもんがあるの社会人には!」



社会人って豆腐屋の長男なんじゃないの?


何コイツ?意味不明なんだけど?



頭の中はクレッションマークの大行進


手をつながれ引っ張られてても、気にならないほどで。

そのまま連れて行かれて、落ち着いた京風カフェ。


案内された椅子に座り。


やっと我に返ったと言う状態。


「全く。何が来てやっただよ。

 1時間の遅刻だぞ!」


「あら、私はトシボーが言った時間を否定も肯定もしなかったでしょ?


 それともわたしの勘違いだったかしら?」


「はあ、なんだよ、俺なんて約束の1時間前から来てたんだぞ、

 2時間待ったんだからご苦労様ぐらい言ったっていいだろ?」


「そ?御苦労さま」


「おうっ……て、まんまかいっ!」





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