お見合いの達人
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「そうかそうか、やっぱお似合いだと思ったんだよ」


「だから、まだそう言うんじゃないってば」


「おやっさんにはホントお世話になって、仲人は絶対おやっさんにしてもらおうと思ってますからね」

「だからあ、そういうんじゃなくて」

「そうかあ、仲人かあ、久しぶりだなあじゅんじゅん♡」


「だからっ!!!!」


「もうその辺にしてあげたら?

なるちゃん困ってるじゃない。」


順子さんがクスクス笑いながら、お茶を配って、

二人がゲラゲラ笑う。


からかわれてたってことに初めて気がついてまっかになった。



「もう、ひどいよ」


「ゴメンゴメン、

ついつい、ノリで、それに、そうなったら嬉しいからさ」


大将はまだまだ、笑いがこらえきれないらしく、

肩が小さく揺れている。


「奈留ちゃんちょっと」

順子さんがこそりと耳元で囁くと、


「なんだよ秘密の話か~?」

「女同士の秘密の話!男は首を突っ込んじゃ駄目よ!」


大将の呼びかけに間髪いれずに答える順子さんはさすが夫婦ツーカーだなあ。


ちょっと奥まったお座敷席に私を呼び入れた順子さんは、にやりと含みのある笑顔を作る。


そうだよね、聞きたいでしょ?

何でこんなことになってるのかって。





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