お見合いの達人
んーっと、うなったまま考え込んでトシローはつぶやく。


「ぜんぜん」


「へ?」


「ぜんぜんそうは思わない。

ってか、一見さんになるかも知んない初対面の人間の人生とかそのあとのこととか考えてるやついたらキモくね?」


「キモって……」


「正直俺はさあ、興味なかったよ見合いなんて、

俺殆ど休み野球につぎ込んでるからって断ったぐらいでさ。

おやっさんが見合いの場所グランドでもいいから絶対会ってみろっていうから、

まいいかって感じで会ってみた。」


「それが私だ」


「うん。いいなあって思ったよ。

グランドから見えた奈留がさ、

女神みたいでさ、

超ドキドキしてコーチ陣にあの人俺の彼女なるんすよって自慢しちゃって……」


「それであの状況だったんだ」

「可愛そうだよな俺、ろくに話もできずに瞬殺だし」 

「だって……ごめんなさい」


「まあ、あれはどう考えてもないわな。

今考えるとちゃんと設定して貰えばよかったよな。

おかげですごい遠回りした」


耳元でささやかれてぎょっとして飛びのいた。


「ちょっと、近すぎ」

---つもりだったんだけど、

腕を取られて、
 







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