お見合いの達人
チュッっと小さく ほっぺに暖かい感触。


「ちょっとっ」

トシローはデヘヘとだらしなく笑って


「失敗、口にしようと思ったのに残念~」


その顔がなんだか可愛くて、

このままこの男に委ねちゃってもいいかなんて思えてくる。


アパートの前で残念そうに、

手を放され
残念に思ってしまう私もいたりする。


はっ、ってかなんで?いつの間に手なんか繋いじゃってんの?

ダメダメ悪女になるんだった。

「送ってくれてありがと」

トシローは、ふっと笑うと、

「今度は部屋にもいれてほしいな」 


「さ、さあどうかな?別にまだ付き合ってる訳じゃないし」


「時間の問題だろ?」


「勝手に言ってなさいよ」


「今日はとりま退散するわ。

またね。」



なんだろう。このキュンキュンしたやり取り。

まずい相手の思うつぼな気がする。









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