お見合いの達人
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休暇を終えて本社に戻ってから、

私の生活は一変した。

営業部新規営業対策主任

という聞いたことのないポストが用意されてて、

座席は浜木さんが座っていた受付だった。


「すまないね、浜木君がいなくなってしまって、

 そこの席に人がいないと面倒でね。

近いうちに人事から人が回せれてくることになってるからそれまでは兼務ってことで頼むよ」


新規営業対策係とはどうやら、その新人と浜木さんの二人のみ。

私はそのトップに置かれる名ばかりの主任だ。


そんなことかと、肩を落としてしまったが、

思った以上に仕事の量が多い。

受付をしつつ、新展開する文房具カフェの様々な手配と、

進捗情報の報告書の作成、

ずっと課長が片手間にやっていた適当な仕事を引き継がされ、

あまりにも適当なため、企画時の書類から全部チェックし作り直すことか始めなければならなかった。

「悪いけど、明日の重役会議までに書類作っといてな」

いとも簡単に言い放つ課長にカチンとした。

「こう言っては何ですが、今まで何をやってたんですか?

 ファイルもバラバラだし、

 資料もまとめられてないし、

 正直明日までに会議にかけるだけの内容は揃えられません」


「そこを何とか!」


「今まで一体何をしてたんです。

 もう、開店のためにプロジェクトは動き出してるはずですよね」


「まあ、そうなんだけどね……」


「見切り発進ですか?まさか会議に通っていないことを始めているとか?」


「まあ、よくあることだよね」


私は呆れて黙ってしまった。

こんないい加減な本社の下で、

私たちは少ないメンバーで過密なシフトを強いられていたのか。



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