お見合いの達人
「なんで?」

「なんでって、招待されたから」


「なんで?だって絶対変でしょ?

 お見合いして破談になった相手の結婚式とか行かないでしょ?」


「うん、まあそうなんだけど。

 まあ、いろいろ事情があって」


「ふーん」


トシローとは定期的に会う仲になっていた。



土日は野球のコーチの仕事があるけれど、

私のためなのか、大分セーブしているらしい。


元々、コーチ陣はチームの保護者がすることになっていたところを、

トシローが野球好きで暇そうなので手伝わされていただけらしいのだ。


だから、都合が悪いと言えば大手を振って自分の用事を優先できると、

胸を張って威張っていたが、

人がいいから利用されてたってことなんじゃない。


ふと課長が目に浮かんでしまった。



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