お見合いの達人
ポットに注いだお湯は熱湯では無かったから、

思ったより軽傷だった。


だけど、服を着たたまま冷水を浴びせられたトシローは、

やけどというより風邪を引いてしまいそうだった


「まさか服のまま水かけられるとは思わなかったよ」

クッシュンっとくしゃみをしながら、

Tシャツに濡れたままのパンツで毛布にくるまって私がコンビニから戻るのを待っていた。


「ごめんね」


こういう時つくづくコンビニの上のアパートというのはこういう時便利だと痛感する。


「ね、Lで大丈夫だった?

 サイズ聞くの忘れちゃったけど大は小を兼ねるからって店員さんが。」


「ん、いいよ。

パンツは大してサイズ関係ないし、ゴムがきついかくらいだし、

 女性物なんてあんな小さくってサイズなんて大して意味ないんだろ?

それと似たようなもんだ」


「ちょっと、トシロー!それセクハラ発言!」

「別に深い意味はないし。

セクハラって言うのは、

 俺のコンドーちゃんのサイズはLとかさ、」

「さ、サイテーっ」

「あははっ」

「もうっ全く、エロロー!」


爆笑しながら私の手からレジ袋ごと抜き取りバスルームへ逃げてった。

トシロー……

私がしょげてるからわざと?



鼻歌が聞こえてくるバスルームを見つめた。

ときん……

ほの痛い鼓動に切なさがこみ上げる。

私、多分トシローを……











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