お見合いの達人
「あなた確か……」


記憶の底をひっくり返す。






『------


「あの人アラシらしいんです。

 まあ、確かではないんですが、

 運営の人が、あなたたちが出て行ったあと、

 彼と面識会った人が話していて、

 あわてて僕が追いかけてきたわけです」

「アラシって?」

「お見合いパーティで、女の人引っ掛けて結婚詐欺みたいなことやってるらしいですよ」

「結婚詐欺!?」


---------------------』


そうだこの人おみパアラシだって、

それも結婚詐欺だっ!


「結婚詐欺ですよね!」


思いっきり大きな声で叫んだ私の口を、あわわと押さえた。

「ちょっとちょっと、なんつーことを大きな声で言ってんのあなた」


「だって本当のことでしょ」

と言っているつもりだけど、もごもごと言葉にならないまま彼の掌で受け止められてる。


「それさあ、どこ情報なの?

 名誉棄損で訴えるよ?」

訴えるっって……っ

いきなり法的拘束力のありそうなセリフに思わずビビって、

「すみません」と謝ってしまった。





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