お見合いの達人
「まあさ、確かにお見合いイベントでの持ち帰り率は100パーだからさ、

アラシって言われてもしょうがないけど、詐欺まではしてないんだけど」

いかにも自慢顔で言うこの男、本当胡散臭い。

「暇そうだから、俺の話聞いてよ」

嫌だと言ってもしゃべるんでしょ、と思いつつ、

まあいいかと頷く。


「俺はさー、正直もてなかったんだよねー……」


男の話は長く半分以上自慢話だった。


要約するとこんな感じだ。

初めてお見合いイベントに参加したのは大学卒業してすぐだったと言う。

それまで恋愛経験は皆無で、彼女いない歴=年齢だったんだと言う。

田舎から出てきて、学校でも知り合いもいなくて、悲惨な学生生活だったという。

その上就職も思うようなところに入れず、

バイトで郵便局で働いていたのだと言う。

そんな彼が知り合いから頼まれサクラで参加したお見合いイベント。

そこで初めて、結婚したい女性の積極的なアタックを受けて、自分もイケてるんだと開眼したんだそうだ。

ファッション雑誌をお手本に、着飾り、女性の求めていることも学習して、

それを試すためにお見合いイベントへ。

ちょっとその気を見せればドンドン貢いでくれる女性たち。

もう、生まれ変わった気分だったと言う。

ターゲットは壁の花のように自信なさそうな女性。

ちょっと声かければホイホイついてくる。


別にアラシのつもりもないし、彼女たちと楽しく食事をして楽しく遊んでいるだけだと言い切る。



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