お見合いの達人
「ダメだったんだ」


「ちょっとわけありでね」

さすがに性癖がちょっと難ありとは言えない。


「へえ?いい感じだったのにね?

なら、引き下がるんじゃなかったな。

ねえ、この後暇なら飯でも一緒にどう?」


「無理、断固断るわ!」


「だってあの時奢ってくれる約束だったじゃん?

まだ奢ってもらってないなあ」


「あれはもう……そうよ、もう時効よ!」

「ふうん。そう言うこと言うんだ。

もしかしてお金ないの?」


「し、失礼ねッ!あるわよ、分かった約束だし奢るわよ夕ご飯!」


「やった、ご馳走様!」


し、しまった、売り言葉に買い言葉で、

こんな女の敵と食事することになっちゃったじゃない。

撤回しなくちゃ


「あ、でも、あのさ……やっぱり……」


「だめだめ撤回は認めないよ?」



そうだったこの人女の進路を熟知した詐欺師だった……っ


むうっ、食事だけ、食事だけで済ますんだからっ!

これ以上絶対乗せられたりしないんだからっ!!!

これから怒るハプニングも知らずに私は意味もない闘志を燃やしていた。






























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