お見合いの達人
「み、ミーコちゃん……」

「きゃあ、やっぱり!

お久し振りです!今日は会社お休みですよね?

彼氏とお店に来てくれたんですね?

結構人気なんですよ、さあ、どうぞどうぞ、

あそこの席空きましたよ、

私が予約席札出してきますから、

先にメニュー頼んで来てください!」

一方的に捲し立てると、

さっき指差した席をいそいそと準備し始めた。


「驚いたなあ、店長って?」


「ああ、うん。この店の前身になるのかな?

一階にあった時の店補で店長だったの」


「へえ?偶然だね。

実は俺、…」

「あ、オーダーしてくるね?

適当でいいかな?」


「あ、うん」

もう、どうにでもなれだ。

あくまでも今日は客だし、あの人もいるとは限らない。

前任の職場だ、こうまできたくなかった理由は、
あの人が店長だからで、


何度か営業部の人たちと訪れてはいたが、

いつも憎しみのこもった目で睨まれる。


彼女からしてみると私のせいで本社から左遷されたと思っているため、

ここの店長であることは彼女は納得していないからだ。


「クラブサンド、本日のコーヒートールサイズとセットで2つ」







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