お見合いの達人
だがしかし、

何で私はここに残ってあいつの去ったテーブルに座っていなくちゃならんのか?

なんだか納得が行かない。

「店長、大丈夫ですか?」

と申し訳なさそうにミーコちゃんがさっき頼んだメニューを1人分だけ運んできた。

そこにはさっき払った代金を半分だけ乗せられていた。


「ああ、まあ」

カフェラテをこくりと飲むと、

甘い味が口に広がった。

「正直本当に戻ってきてほしいんですよ。

って、バイトから社員にしてもらっておいてなんですけど、

カフェのスタッフも入って新体制になったし、

みんな戸惑っているのに、

あの人は相変わらず指示だしてるだけで、

みんなあの人についていくって気分にはなれなくて、やめたい気分です」

「でも、視察の時とか上手く行ってる感じだったじゃない」


「それですよ!そう言う時だけいいかっこして、

 後はみんな社員なんだからって、

 さっき対応してくれた人いたでしょ?あの人がカフェリーダーで、

 私と二人に責任や問題は押し付けてくるんですよ」

「みーこちゃん」

私は慌てて彼女の口をふさいだ。

そうでなくても、さっきの騒動で人目を引いているのに、

店員が上司にあたる人間の悪口をいってるなんて、

サービス業としてあってはならない。









 
< 164 / 198 >

この作品をシェア

pagetop