お見合いの達人
…………とはいえ、


 なんの進展も変わったこともなく、

トシローとも今まで通り。

あれはなんだったのだろうと思うほど、

変わりない毎日が通りすぎている。


それと言うのも、

藤吾の消息が不明なためだ。


お兄さんすら行方が知らされてなかったことが後に判明した。

私が知っているのだと思っていたらしく、お互いにその事実を知り絶句した。


あの日、私を連れていくことで、安心させて、

新婚旅行中に姿を消したのだ。


とりあえず、消息がわかり次第、連絡し会うという約束をして別れたが、

一向に連絡は来る気配がない。



ったく、あいつ……どこまでも自分勝手なんだ。

心配して夜も眠れないじゃない。

トシローは、『このまま俺にしていいよ?』

なんて調子いいこと言うから、

ほんとにそうしちゃおうかななんて思ってしまう。

そうなっても後悔しないような気がする。


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そんなある日

意外な人から連絡を受けたのだ。

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