お見合いの達人

「すみません、仕事が立て込んでいてあまり時間がとれなくて、

わざわざ、こんなとこまでっ出てきてっもらって、

体の方は大丈夫なんですか?」


「まあ、安定はしているので、

それに、私が運転してる訳じゃないですし、

私には父が運転手を付けてくれるからどこでも行けるのよ。

あら、

ごめんなさい、自慢とかじゃないの」


いや、自慢でしょけども……

結婚式では遠目に見ただけだったから、

初めて話すけど、やっぱりお嬢様なんだなって感じだな。


双子の幼馴染で二人の初恋の人なんだって聞いてたけど、

ふうん藤吾ってば、こういう人が好きだったわけか。

急に会社にやってきて、

あわてて総務に言って空いていた会議室を借りた。

絶対ばればれだった。

後で仕様に使うなって注意受けるな。

案内しながら比較的座りやすい椅子を勧めた。


満里奈さんはやれやれという様子で椅子に座ると、

大きなお腹をさすりながら、

額の汗を拭いた。



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