お見合いの達人
「お、久しぶりだね、なるちゃん」


「ご無沙汰しちゃってます」


毎日のように通っていた大将の店に足が向かなくなってどれくらいだろう?

本部からの道から外れていることもあるけど、

トシローとのことを保留にしておいてから、その事に触れられたくないということも理由にある。


「そういやどうした?トシ坊とのことは?」

ほら来た……


「ええ、まあ、相変わらずです」

「あんた、無粋なこと聞くんじゃないの。

二人のことは、なるようになったときに話してくれるんだから。

ごめんねえ?」


お通しとおしぼりを目の前にコトリと置きながら、

順子さんがニヤリとした。


「まあ、聞かれるとは思ってたけど……

話すほどのことはないから」


「まあ、私はトシ君から聞いてるしねー!」


「えっ?何を聞いてっ?」


「ふっふっふーっひみつ♥」

トシローってばまた何か順子さんに言ったの?

っていうかホントなにもないし、

保留にして以来、トシローとも連絡ないし何も無さすぎて忘れてしまいそうなときも……

「ごめんねなるちゃん、私色々口出ししたから、そのせいで複雑にしちゃったんじゃない?」

「え?順子さんに謝ってもらうことは何もっ。私の不徳の致す所で……」


結局私があっちこっち中途半端にじたばたしていただけだ。


「正直いってあれ?トシ君に勝率はあるの?」




核心を突かれて絶句してしまった。

だってそれは私にも解らないことだから。


















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